労働環境が良くならない理由
解雇規制の弊害については、池田信夫のブログ記事やアゴラ記事で、それなりの理解はしていた。
今回、Zopeジャンキー日記の「なぜ日本ではブラック会社が淘汰されないのか 日本は雇用の流動性が低いから、労働者の価値が低い」を読んで、すんなりと納得でき、胸のつかえが取れたような気がする。
ここで「ブラック会社」とは、「連日終電帰宅、休日出勤当たり前、有給何それ?みたいなクソ会社」つまり劣悪な労働環境を強いる会社のこと。この言葉を、初めて知った。
説明のストーリーは、つぎのように流れて行く。
・なぜブラック会社が生き残れるのか?
・その会社を辞めたいのだが、辞められないから。 ・・なぜ?
・それは、転職が難しいから。 ・・なぜ?
・「転職のしやすさ」、つまり雇用の流動性がないから。 ・・なぜ?
ここからは、ブログからの引用で・・
日本はなぜ雇用が流動的でなく、「転職しにくい」状態なのか。これは職を生み出す側、求人する側である企業の立場で考えると、すぐにわかる。その理由は、
1)人は欲しいが、お金がない。
2)人が欲しくて、お金もあるが、採用失敗時のリスクが高すぎるので、採用しない。
の主に2つだ。
1)の理由はいろいろありうるが、「給料に見合った働きをしていない社員がいて、そのコストがかさんでいる」というのも、その理由のひとつになりうる。これが解決できない理由は、日本では解雇規制によって、会社側からの解雇が厳しく制限されているからだ。
2)の理由は、これはほぼ完全に解雇規制である。採用に失敗すれば、「給料に見合った働きをしていない社員がいて、そのコストがかさんでいる」という状態になるのが見えているので、採用しないわけだ。
であり、問題の核心は解雇規制になる。
解雇規制をなくせば、企業はジャンジャン首切りをはじめるのでは?と怖れる人がいるが、それこそ経営の立場をわかっていない人の発想だ。解雇規制がなくなれば、採用にともなうリスクが大きく軽減されるので、企業は首切りをやる以上に、より多く採用するのだ。それも、これまでは採用をためらったような「属性弱者」(女性、高齢者、低学歴者、未経験者など)も、見込みがありそうだと思ったら気軽に採用できるようになるので、「機会の公平さ」も増すのだ。
ということで「転職しやすく」なり、ブラック会社がなくなっていくのである。
おまけに、それは日本経済にとっても良いことだと簡単に想像できるだろう。
最後に、
ブラック会社や「社畜」、過酷な労働環境といったものが日本で生まれやすいのは、解雇規制という「保護」と引き換えの「コスト」なのだ。つまり解雇規制とは「保護」であると同時に、「牢獄」でもある。
と、まとめている。
非常にすっきりした。