つれづれ memo & feel

旅の記録と日常の出来事をメモする

マニフェストはバーゲン広告

オバマ大統領が誕生した今年の始め、天野祐吉さんが「CM天気図」で定額給付金について、

「給付金」という言葉が気に入らない。
・・・
「お上」なのである。
で、国民は「しもじも」なのだ。そういう感覚は、政党の広告にも現れている。
どの政党も「国民の生活を守る」という。だが、「守る」んじゃない、こんな生活を「変える」といってほしい。それも、「私にまかせなさい、変えてみせる」ではなく、オバマ流に「一緒に変えよう」といってほしいのだ。

と、表現について苦言を表し、その後に国民に伝える方策を提言している。

とりわけ、広告は「説明」ではなく、「表現」である。

押しつけの「説明」でなく、国民が希望を持てる「表現」が必要であるという。


今もって政治家が国民に投げかける表現は、まったく変わっていないようだ。
今日の朝日新聞にある「CM天気図」では、各党のマニフェストを「バーゲン広告くらべ」と比喩していた。このタイトルを見て「なるほど、巧い表現だ」と感心した。

 マニフェストも「広告」の一種である。が、これは広告の持つ悪い面ばかりが目立つ。
 (1)いいことずくめである、(2)言葉がそらぞらしい、(3)目先のトクばかり強調して本当のトク(生活の変わる姿)が見えてこないー
・・・
とくにいけないのは、あたらしい社会像や生活像が見えないことだろう。・・・
とことん「カネ本位制」になってしまっているいまの世の中を、どう「ヒト本位制」に仕立て直そうというのか。

バラ撒きという「目先のトク」、つまりバーゲンのチラシで国民の目を引きつけ、その後にどのような未来が待っているかを隠してしまう。ときたま10年先の将来に触れていても抽象的なあやふやな約束でしかない。

第一、10年先の甘い約束を信じるほど、もう国民はバカじゃないぞ。
大経済学者のケインズに、記者がこうきいたことがあるそうな。
 「先生、いまはひどい不況ですが、長期的に見て、いったいわれわれはどうなるんでしょうか」
 それに対して、ケインズ先生はこう答えたという。
 「さよう、長期的に見れば、われわれはみんな死んでいる」

また、過去の甘い約束を振り返り見れば、政治家の底が知れるだろう。


最近読んだ本に、政治家が使う言葉の意味が書いてあった。

政治家が、「前向きに検討します」や「善処します」などと言うときは、まず間違いなく、何もしないという意味に受け取ったほうがよい。また、演説などで、「国民の皆様のために」などと言ったときも注意が必要だ。その意味は「自分の選挙のために」であり、実際に発言を置き換えてみれば、案外すっきりといくものである。
【「宰相不在」上杉 隆】

これを知っていると、総選挙の候補者が発する言葉をじっくりと聞いてみるのも面白いかも知れない。
上級者になると、「ダメな説明を巧い表現にするには」と遊んでみることもできそうだ。