つれづれ memo & feel

旅の記録と日常の出来事をメモする

遠近感は簡単に崩れて大きさだけが残る

遠くにあるものを、あたかも自分の側にあるものとして錯覚させるカメラの構図をよく見かける。たとえば、夕陽を掴むとか、ピサの斜塔を支える写真が思い浮かぶ。
そんな写真を集めたサイト【Not Photoshopped: Just Incredible Forced Perspective Photography】があった。遠くの対象物と近くの手や足を画面の中でピタリと合わせるのがポイントになるだろう。



Photo: abmiller99



Photo: lifecreations



Photo: Alexandre Duarte


ところで、この遠近感覚を更に狂わせる部屋がある。
脳の知覚を調べるために考案された「エイムズの部屋」だ。



あなたは「エイムズの部屋」を知っていますか?


映像もある。

これは、遠近感よりも人の脳に刷り込まれた常識、光は常に上から降ってくるとか、壁の枠線は平行なものなのだという思いこみが勝った結果である。


最近読んだ「心をつくる―脳が生みだす心の世界」(クリス・フリス)によると、私たちが知覚する世界とは現実と対応した幻想であり、脳内に作られる映像は、視覚の情報と予備知識から得られた予測モデルを統合したものとなる。つまり、網膜に結ばれた二次元映像から、既に獲得した予備知識に一番近い3次元空間として再構成される。結果、いびつな部屋が常識的な部屋と認識され、その中で人の方が伸び縮みするように見えてしまうのである。


これらの脳に仕込まれた振る舞いを見ると、先入観に支配された固い頭になっているのかが良く分かる。基本的な予備知識は、「数百万年にわたる長い進化を通じて脳内に生物学的に組み込まれたもの」というから、分かっちゃいるけど止められないらしい。