つれづれ memo & feel

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名前をコロコロ変えられたブタフルも、いつしか季節性に吸収される

以前、「進化するのは名前だけで良い」というエントリーに、新しく発見されたインフルエンザがその流行とともに名前が変わっていくことを書いた。


最初「豚インフルエンザ」だったのが、「A型インフルエンザ」、「インフルエンザA(H1N1)」などの改名を経て、「新型インフルエンザ」といういつでも使えるような平凡な名前に落ち着いた。ところが、今日、国立感染症研究所 感染症情報センターを見てみると、ホームページには「新型インフルエンザ」とあるのだが、細部に入っていくと「パンデミックインフルエンザA(H1N1)」という名前が使われている。
その情報の更新記録をざっと振り返ってみると、次のように変化している。

WHOの表記として
  :インフルエンザA(H1N1)
    :ブタインフルエンザ
      :新型インフルエンザA (H1N1)
        :パンデミック(H1N1)
IDSC(感染症情報センター)表記では
  :豚インフルエンザH1N1
    :新型インフルエンザA(H1N1)
      :パンデミックインフルエンザA(H1N1)

名前の変化とともにウィルス自体も進化したようだ。その進化は、普通の季節性インフルエンザと同じくらいの性質に移行したらしい。その結果、従来からの季節性インフルエンザにも影響を与えている。


Google インフル トレンド(以下の図)によると、日本における流行のピークは10月頃で、これを過ぎてから急激に下降している。例年だと、季節性のインフルエンザがピークに向けて上昇している頃なのに、である。



新聞もこの変化を記事にしている。

昨年は、通常ならインフルエンザが流行しない夏以降に新型インフルが流行した。道内では昨年10〜11月をピークに患者が減り、12月中旬時点で全国平均を下回った。冬本番を迎えて毎年流行する季節性インフルのシーズンに入ったが、まだウイルスは確認されていない。
asahi.com:新型インフルが取って代わる?

北海道の例だけではあるが、いつにない興味深い現象が起きている。

 今回は春から流行したという例外的な現象はありましたが、この「新型インフルエンザ」は実は普通の季節性インフルエンザと同じものだったか、あるいはヒトからヒトへと感染を重ねているうちに、普通の季節性インフルエンザと同じくらいの性質(毒性など)を持つように進化したということも考えられるます。そうだとすると、普通の季節性インフルエンザと同じように、先にA新型が流行した結果、他のA型やB型のインフルエンザも流行するチャンスを失ってしまったということも十分考えられます。


 人獣共通感染症の専門家である北大の喜田先生も、「昨春現れた新型のウイルスに関しては『ヒトの間で感染を繰り返した結果、すでに季節性に移行したと考えてもよい』と」おっしゃっています。
5号館のつぶやき : 北海道には季節性インフルエンザがまだ来ない

おそらく今年の終り頃には、ブタフルも季節性インフルエンザ・グループの片隅におかれるようになるのだろう。その時は、総称として「季節性」と呼ばれ、その中で由来である「ブタ型」という分類名が与えられるかも知れません。


ところで、鳥インフルエンザはどうなっているのでしょうか。しばらくの間、ブタの影に隠れていましたが、これからも警戒すべきものと思われます。


感染症情報センターにも鳥インフルエンザの情報がありますので、見てみました。ちなみに、この名称も一般には鳥インフルエンザ、またWHOなどでは「高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)」と呼ばれています。
そこにある「WHOによる高病原性鳥インフルエンザの感染確定症例数」のデータを拾い読みすると、

・全世界における2009年の値は、確定症例数:52、死亡例数:13
・ピークは2006年で、確定症例数:115、死亡例数:79
・2003年以来の累計数は、確定症例数:447、死亡例数:263
・累計死亡数上位の国は、インドネシア115、ベトナム57、エジプト27、中国25

となり、現在は停滞期のような感じを受けます。しかし、今回のブタインフルエンザのようにいつハジけるかも知れません。用心することに越したことはない。特に、東南アジア方面に旅行するときには、事前の情報収集を心がけることにしましょう。