チリ津波は、なぜ日本の北の方から到達するのか
南半球のチリで大地震が起きてから、昨日の日本はそれによる津波警報で一日中騒がしかった。その警報を見て最初に思ったのが「なぜ北の方に早く到達するのか」でした。
サンチャゴ付近にある震源地と日本の位置関係を頭の中に描くと、「東南から西北」もっとデフォルメして「南から北」になる。そうすると、日本では南の方から到達するのではと思う。
しかし、気象庁の警報による到達時刻は北からなので、Google Mapで確認してみた。地球は球体なので、2次元地図では距離関係が正確につかめない。メルカトル図法とかなんとか図法などの記憶を掘り起こしてみながらGoogle Mapを眺めていた。日本列島は斜めで、また弓なりに反っている。サンチャゴから日本まで定規を渡すと北のほうが近い。図法のことは別にして、これだけでほぼ納得した。「南半球から北半球へ」という思い込みの方が強い結果、太平洋の大きさを忘れていた。
今日になって見たこの図で、再認識をした。
【米海洋大気局(NOAA)が公表したチリ大地震による津波の到達予想時間】
これを見ると、津波の到達には直線距離もあるが、ニュージーランドやオーストラリア大陸も多少影響されて南の方が遅れるのだろうと思う。
この図を見る切っ掛けになったブログ「5号館のつぶやき : いかにも日本的な津波警報」を読んで、最近特に多くなってきた「日本的」過剰反応に共感した。
正確に津波の挙動をリアルタイムに追跡できる時代になっているはずだと思われるのに、どうもそうした最新のテクノロジーが駆使されているとは聞こえてこず、一方で災害を最大限に阻止するために「必要以上」と思われるくらいの予防措置をとっているのではないかという思いは消えません。
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危機回避をしようとして最大限のリスク回避をするあまり、国民が警報などを信用しなくなる「オオカミ少年」状態になってしまうことが心配にもなってしまいます。
まったくそのとおりと思う。かなりの人が、同じ思いをしたのではないだろうか。あれだけ大騒ぎした結果がこんなものという学習をしたあと、次に大津波が発生したときの警報を聞いてどう思うかはある程度想像できそうだ。
何でも「お上」が決めてくれるというシステムをとっていると、どうしても失敗を避けるためにこういうことになってしまうのは理解できないわけではないのですが、こんなふうにあまりにも「過保護」にしていくと、自らは何もしない国民を増やすような気もして、あまり教育的ではないとも感じております。
ここまできて、蛇足だが、先日「学問ノススメ」で聞いた言葉を思い出した。
「自然がいっぱい、危険もいっぱい
怪我と弁当自分もち」
ある山に行ったとき、俳人の黛まどかさんが見た看板に書いてあったものらしい。公共の施設で何につけてもお役所が面倒を見すぎる日本への違和感について、この看板にあるように、ある程度は個人の責任範囲にしないと人は育たないという話であった。