つれづれ memo & feel

旅の記録と日常の出来事をメモする

リバーツアーと日本橋


最近は、陸上に飽きてきたのか水が私を呼ぶのか、水の上を行く散歩が多い。水面を行くと、いつもの視点から離れるからなのだろう、見慣れた景色を新鮮に感じる。橋の下などをくぐり抜けるときなどは、その舞台裏を見ているような感覚になる。水面は陸上より低く平坦で、時たま直線的に遠くを一気に見通せる楽しさもある。


このツアーは、荒川ドック辺りから小名木川を西に上り、隅田川を経て日本橋までの水路を辿る。途中、隅田川との水位差を保つための閘門を通過するのがひとつの楽しみでもある。



ーー中川船番所ーー

朝、いつもの散歩道を歩いて中川船番所資料館に行く。ここは荒川ロックゲート近くにある。この辺りから船に乗って小名木川を上り、隅田川に入る。それから日本橋までの水路を行くツアーだ。
  

資料館をざっと見学してから、船に乗り込む。オープンデッキのあるボートを予想していたのだが、屋形船がやって来た。これでソロリと小名木川を行く。天気は良い。
  

  はじめて「船番所」の意味がわかった。江戸時代に水路で出入りする人、特に物資の検査をするために設けられた関所である。米や酒は米価政策に関わり、そして硫黄や塩は戦略物資として監視の対象になる。要は「入り鉄砲に出女」ということと、それの江戸経済の安定の役目もあった。


  ある資料によると、「川船による旅人通行の改めは厳格ではなかったが、川船に積まれた荷物については極めて厳しかった。この番所の本来の目的が、商品流通を把握するところにあったからである。重視した物資は米、酒、鮮魚、野菜、硫黄、塩。米と酒は江戸の米価政策に関わり、生鮮食料品は真夜中の通関を許すほどの気の使いよう、普通の関所は通さない。江戸に入る硫黄、出る塩は戦略物資として重要視していた」とある。


ーー小名木川ーー

横十間川と交差する時に見えるスカイツリーなどを楽しみながら進む。そのうちに扇橋閘門に着く。
  

  小名木川には、数多くの橋が掛かっている。最初に通過したのが、番所橋になる。それから、塩の道橋、丸八橋、砂島橋、進開橋、そして”X"の形をしたクローバー橋小名木川橋、小松橋と続く。そして最初のイベントとなる扇橋閘門になる。


ーー扇橋閘門ーー

これで二回目だが、このような体験は滅多になく、楽しい。隅田川側の方の水位が高く、今日は2mほど上昇した。
    

  ここから隅田川に出るまでに、新扇橋、新高橋、大富橋、東深川橋、西深川橋、高橋、そして万年橋とくぐって行く。


ーー隅田川ーー

隅田川に出て、清洲橋をくぐる。振り返ると、川面から見る橋とスカイツリーのマッチングが美しい。

永代橋を過ぎ、大川端の高層ビル方向に進む。美しい斜張橋中央大橋も通過して右の運河に回り込む。ほどなく行くと水路は右に折れる。八丁堀辺りだろうか。そして前方に高速道路が見えてくる。あれは茅場町だろうなと推測する。

突き当たりを左にカーブすると、"TOKYO"の文字が見える。証券取引所兜町だ。そろそろ終点だな。

日本橋のたもとにある船着場に到着。都の防災訓練の影響で出発が遅れたので、着いた時はお昼時を過ぎていた。
  

ーーたいめいけんーー

たいめいけんでお食事。これもコースに入っている。カツサンドボルシチスープでした。
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ーー日本橋ーー

食事で終わりかと思っていた。陸に上がってから、初めてツアーの全体像を知る。架橋百年を祝う日本橋界隈の旧跡を巡ることになっていたのだ。




   ツアーでいただいた資料によると「慶長8年(1603)創架とされ、五街道の起点でした。現在の橋は、明治44年(1911)完成の石造橋です。西北の橋詰には、かって橋の中央にあった東京市道路元標が移設されています」とある。







つぶさに歩くといろんな旧跡が見られる。これは西河岸地蔵寺の縁結びの札。お千世さんの絵が描いてあります。誰かさんの為に写真を・・・。



  
渋沢栄一像         一石橋迷子しらせ石標     日本橋魚河岸跡

貨幣博物館も見学する。それより日本銀行の前で行われていたクラッシックカー・フェスタが良かった。古い貨幣より見応えがある。
 

再び日本橋に戻り、橋にまつわるトリビアをいろいろ聞く。知らなかった事が多い。道路元標や羽のある麒麟、阿吽の狛犬に似た獅子、爆撃の跡などなど。

ツアーも終わりもと来た船着場を見下ろすと、和船もどき(エンジンがある)の舟がたむろしていた。女性の船頭さんです。この百年祭は、明日10/30がメイン。本番に向けて準備が進んでいた。

当初の目論見では、ツアー終了後も歩いて帰ろうと思っていた。しかし。解散宣言があった頃は4時半を過ぎていた。これだけ歩けば十分です。高島屋にも寄って、電車で帰ることにする。でも、疲れたなぁ〜。


疲れました。やっと家に着いた。今日は、朝から小名木川リバーツアーに参加してきた。船だけかと思いきや、いっぱい歩かされてきました。




いつもは何気なく通過しているだけの日本橋界隈であったが、つぶさに見てまわるといろいろと見所の多い歴史的な町であった。たまには歩く速度を緩めて、気になるものを見つけては立ち止まるという時間の使い方も良いものだ。ただ、一定速度で歩くよりも疲れるような気がする。ちょうど、誰かの買い物に付き合っているような・・・。^^;