つれづれ memo & feel

旅の記録と日常の出来事をメモする

雨を見せるための工夫は

散歩中に「ESLポッドキャストを聞いていたら、懐かしい映画「雨に唄えば」(Singing In The Rain)が話題になっていた。ストーリーは忘れてしまっているが、ジーン・ケリーが雨の中で歌いながら踊る有名なシーンは記憶に残っている。傘を使ったタップダンスが見事なので「アンブレラ・シーン」ともいうらしい。


たった4分くらいのシーンに三日間も掛けて撮影していたことや、そのときジーン・ケリーは高熱を発していたなどのウラ話を初めて聞いた。また、雨を見え易くするためにミルクを入れていたという話も面白い。これを聞いて、もう一度見たくなったのでチューブった。要は、YouTubeに探してみた。





1952年の作品でカラー映画でした。モノクロのような気がしていたのだが。音楽も、ダンスも素晴らしい。傘を使ったアクロバティックな動きも絶妙で、見入ってしまう。最後のほうで、車道に溜まった雨を歩道に蹴り上げる時、これはまさしくミルクが入っているなと確信した。


この「雨を見せる」と聞いて思い出すのは、黒澤明監督の「七人の侍」である。透明な雨はフィルムに映りにくいので、水に墨を混ぜていたということを聞いたことがある。





こちらは、2年遅れての1954年公開の映画、それも白黒映画である。雨のシーンは多いが、最後の雨中の決戦シーンは印象深く覚えている。画面が全体的に暗いが雨脚が良く見える。水たまりで人や馬が跳ね上げる飛沫と相まって、雨のシーンの迫力を強烈なものとしている。墨を混ぜた水という先入観が入ると、どことなく黒い雨に見えてくる。


雨をフィルムに映す工夫に、洋の東西の差をがあるのは面白い。
少しだけ「墨とミルクの差は?」と考えてみた。
 ・白黒フィルムは墨、カラーは白いミルクのほうが有利のように感じる
 ・どちらも野外シーンだが、大空の下とセットの家並みという背景の差も
  あるのだろう
 ・雨が顔に付いたとき、浅黒い日本人の顔は少々墨の色が付いたとしても
  影響はない。白人は墨が目立ちそうなのでミルクのほうが無難だ(^^)
 ・当時の日米の経済力の差もあったのかも。混ぜる量はミルクのほうが多く
  必要な気がするが・・


ところで、現在の映画では雨のシーンにどんな撮影技術や工夫が凝らしてあるのだろうか。フィルムの感度が良くてそんな工夫はいらないのか、後でCG合成を掛けるとかが思い浮かぶ。



(追記)
雨の映し方が気になっていたところで、この美しいCMを見た。





ここでは、ライトを雨に当ててその反射で光らせている。ライトに色をつければ、カラフルな雨にもできる。ビデオCMは、映画とは違って一瞬で注目を集めなければならないので、こんな手段を使ったのであろう。映画でこれを使うのならば、夜のシーンで街灯の下やネオンサインの近くだと出来そうだ。