ネガ・スペースでの遊び
ある本を読んでいたら、ネガのスペース、つまり画像の間や周辺部の空白のスペースを意識するという話があった。ある絵画教室の授業の内容である。そのひとつの例として示されたのが「FedEx」のロゴ。
【FedEx】
”E”と”x”のスペースを意識して見ると、白矢い印が見えます。FedExというポジ画像を見ていると気がつかない。ネガ・スペースを意識したときに見えてくる。
この場合は、このロゴのデザイナーが宅配会社をイメージして意図的にデザインしたものである。一種の遊びである。
これまで知らなかったのだが、この白矢印は、割合に有名であるらしい。
それでは、次は問題です。
ハーシーズの有名なキスチョコのロゴにも、この手の遊びがあるらしい。そのロゴを見て、どこに何が隠されているか考えてみてください。
【HERSHEY'S KISSES Brand Chocolates】
おそらく、このチョコを一度は食べたことがあると思います。その時にロゴも目にしているはず。
ところで、この”ある本”は、アル・ゴア副大統領のスピーチライターを務めたダニエル・ピンクが著した「ハイ・コンセプト」である。その右脳で絵を描くという絵画教室のところを読んでいて、この遊びに大いに興味を引き付けられた。また、絵を描くためのアドバイスにも考えさせられた。
「絵を描くことは、おもに『関連性』をみること」
「絵を描くことは見ること」
「ものに名前をつけることが問題の始まりだ」
最後の意味は、見たものを理解するためにその名前を思い浮かべると、その記号化されたモノにリンクする頭の中のイメージに引きずられるということ。たとえば、絵を描く対象にリンゴがあったとすると、当然に「リンゴ」という名前で対象を理解する。そして、記憶の中にある「リンゴのイメージ」に描く絵が影響されるということである。子供の絵の中によく見られる太陽とか家などを思い浮かべると分かる。
つまり、絵の初心者にこのような傾向があるということだが、人の会話を自分勝手に理解してしまうということもこういう事なのだろう。さらに考えを進めていくと、オスカー・ワイルドの「自然は芸術を模倣する」ということにも繋がっていく。
まだこの本を読了していないが、示唆されるところが多い。
というところで、上の解答は、”K”と”I”の間にもう一つのキスチョコが隠されている。
それにしても、この手の遊びは、まだ多くのモノに隠されているのだろう。また、コロンビア映画のオープニングに隠し絵があったように、見慣れているはずのものに新たな発見がある。要は、見ているようで見ていなのである。まだまだ発見する楽しみは残されている。