つれづれ memo & feel

旅の記録と日常の出来事をメモする

「日本はもうダメ」だからどうする

このところ、日本がもつ閉塞的状況を扱ったブログに行き当たる。
その中で、昭和的価値観の中にもある終身雇用制の弊害が目につく。


この長期雇用のぬるま湯に浸っている人は労働人口比で1割未満しかなく、他の9割以上の人がこの雇用慣行に疑問を抱いているといわれる。

 1. 柔軟な労働市場―競争的な賃金―容易な解雇―容易な転職
 2. 長期雇用―年功賃金―困難な解雇―困難な転職
 【長期雇用という物語の終わり - 池田信夫 blog

という、2.の構図で雇用の流動性が損なわれ、

全産業で一律に雇用を守ることは不可能であり、労働市場の硬直性が労働生産性を(したがって成長率を)制約している。
 【終身雇用という幻想を捨てよ - 池田信夫 blog

と、産業および社会の成長を阻害し、それが若者たちの希望と雇用の機会を奪っているらしい。


このような状況を見てなのか、

これから始まる長期停滞においては、少子化とあいまって、ほぼゼロが自然な成長率になるだろう。こんな狭い国に1億3000万人も住んでいるのは多すぎるので、少子化は悪いことではない。しかし椅子にしがみついた老人たちは、退場するとともに椅子も持ち去り、将来世代には巨額の政府債務とマイナスの年金給付だけが残る。


こういう将来を合理的に予測すれば、それに適応して生活を切り詰め、質実で「地球にやさしい」生活ができる。日本は現在の欧州のように落ち着いた、しかし格差の固定された階級社会になるだろう。ほとんどの文明は、そのようにして成熟したのだ。「明日は今日よりよくなる」という希望を捨てる勇気をもち、足るを知れば、長期停滞も意外に住みよいかもしれない。幸か不幸か、若者はそれを学び始めているようにみえる。
 【希望を捨てる勇気 - 池田信夫 blog

という希望レスな生き方や、

これまでずっとなるべく言わないようにしていたのだが、もう平たく/明快に言うことにしました。
 1)日本はもう立ち直れないと思う。
 だから、
 2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい。
 【On Off and Beyond: 海外で勉強して働こう

と言う絶望感からの処方箋が投稿され、これに反応したブログが行き交っている。


飛び交う意見から、興味深いものを少し上げると

なぜ日本に希望がない--ようにあなたの目に映る--かといえば、逆説的であるがあなたが日本というものに希望を期待しているからなのだ。そもそも希望というのは国だの企業だのに求めるものではない。なぜ日本に希望がないか。自分ではなく日本に希望している人が多すぎるからだ。「日本オワタ\ (^o^)/」といいつつ、日本がハジマるのをいつまでも待っているあなたに希望が訪れることは、ない。


そのことに気がつくのに、日本に希望しようがないほど日本から離れるほど効果的な方法はない。そして、離れてしまえば日本の悪いところだけではなく良いところもいやでも気がつく。塩野七生も言う通り、愛国者を作る一番簡単な方法は、そいつから国をいったん取り上げることなのだから。
 【404 Blog Not Found:日本に留まりたかったら、一度は留学しておくべき

この意味で今の日本が不幸なのは、富が失われていることより希望が失われていることだろう。終戦直後の日本では、若者は焼け跡に設計図を描いて新しい事業を興すことができたが、今では都市はコンクリートの建物で固められ、職場はノンワーキング・リッチに占拠されている。仕事がいやになっても、転職すると生涯収入は5000万円以上減る。起業してもうかると、東京地検特捜部がやってくる。政府はバラマキと企業救済で、社会主義に舵を切った。それが偽りの希望だったことは、歴史が証明しているにもかかわらず。
 【希望について - 池田信夫 blog

など、悲観的なものが多い。


政府による改革が重要だと指摘するものもあるが、それもあきらめて海外に希望を求めよといいうことに対する反応が興味深い。
これらの反応をまとめたものに、【J-CASTニュース : 「日本はもう立ち直れない」 だから「海外で働こう」に賛否両論】がある。


当方が感じる事は、

僕が想像する日本の未来は、日本人全体が危機認識を共有したときに日本が立ち直るという未来です。例えば、150年前に開国した時のように、中国、インド、フィリピン、ベトナムインドネシアが植民地化され、日本自体が植民地化の危機に立たされた時のように危機を脱出する方向に全員が行動するイメージです。明治維新では西郷隆盛坂本龍馬のような優秀な人材が大量に出現しました。結果、開国からたった37年で日清/日露戦争に勝利を収めるまでになりました。また、日本中が焼け野原になり0からの出発となった日本は、戦後約25年で国内総生産GDP)で世界第二位になった後、ずっとその地位を守っています。このときにも、戦後の舵取りを誤らなかった吉田茂池田勇人などの優秀な人材が出ています。
 【フランスの日々: 日本はもうダメだ論と日本の優秀な人材

に近い。
のど元まで水がこないとこの国は動かないのだ、そうなれば、一気に改革の方向に進むであろうと期待する。


しかし、天下りで種の保存しか考えない官僚政治といい、長期雇用といい、年寄り(かく言う私も含めて)が大事にしている古い慣習(悪習と言いたいが、新しい時代に合わなくなっただけで、その時代では必要だったのである)を打ち破るパワーは、いつどこから出てくるのであろうか。